事態急変

2020年1月26日(日)36日目

朝起きると、何やらカツさんが深刻な顔で電話をしている…。

どうやら今いる場所の近くで新型コロナウイルスの感染者が出たらしく、ちかくこの辺りの道路も通行禁止になるらしいとか…。そうすると28日までここにいたらこの場所から出られなくなる恐れがあるとのこと。

予約していた航空券、差額を払えば日付の変更が可能だったので急遽今日から移動を開始することに。

しかし最寄りの飛行場まで車で1時間以上…。事態は深刻で、もし私を空港まで送れたとしてもその後家まで帰ってこられるかがわからないとのこと…。

ハスさんが色々な所に聞いてみてくださったようで、今すぐ出れば何とかなるとのことだったので朝ごはんを食べてからすぐに出発。

カツさんが空港で食べなさいと食べ物も持たせてくださいました。

バタバタと予定が決まったのできちんとした挨拶も出来ないまま…カツさん、妹さん、妹さんの娘さんに見送られながらハスさんの車で銀川空港まで。

何度か検問があり防護服を着た警察官から体温を測られました。

本当にすぐそこまできているんだ…という感じで緊張していると、それを感じ取ったのか笑顔で見えるものの説明をしてくれるハスさん。

ここでは車を停めて写真を撮りなさいとも。明王朝時代の長城だそうです。

 

ハスさんの笑顔を見てほっとしながらも…。

でも私はハスさんの運転を知っている。ハスさんは今まで本当に安全運転で前の車を抜かしたりすることもあまりなかったのですが今日はいつもよりスピードも早く、どんどん車も抜いていく。そのことが事の重大さを物語っていました。

そんな中でも私への気配りを忘れないハスさんの優しさに泣きそうになりながら12時30分に空港に到着。私の乗る飛行機は18時55分にしか便がなかったのでそれまで待機。ハスさんは「連絡を頻繁に取り合おう」と言って帰って行きました。空港ではスタッフも乗客もほとんど全員がマスクをしています…。

空港で1人、

「無事に飛行機は飛ぶのか?ベトナムへは入国出来るのか…?」

と考えながらも、今から通行止めになるという場所へ帰っていくハスさんや、今まさにその場所にいるカツさんやご家族のことを思うとどう言えば良いのかわからない気持ちに…。

私はただの一旅行者で、怖いと思えば逃げてしまえる。

でもそこで生活をしている人は?

その場所で事の収束を待つしかない…。

ハスさんから、無事に家にたどり着けたこと、その後すぐに道路が通行止めになったことを聞きながら色々な感情が押し寄せてきました。…私はあんなに親切にしてもらった人たちを置いて逃げ出すんだ…という気持ちになったり、無事にベトナムにたどり着けるかな…?と自分の心配ばかりしてみたり…。

日本にいる友達からも心配の連絡や情報をもらいながら、そして自分の感情に振り回されながらベトナム近くの南寧というところの空港まで行く飛行機には無事乗り込むことが出来ました。

しかし人はすごく少ない…。

飛行機の中から見える景色はこんな時でもとても綺麗で、そのことが余計に何とも言えない気持ちに。

22時前無事に空港に到着し、明日の朝8時40分にハノイ行きの飛行機へ乗り換えです。今日は空港で1泊。

旅をしている間空港泊をすることもあるんだろうなー…と漠然と思っていましたが、まさか初めての空港泊がこんなに緊張に包まれたものになるとは思っていなかった。

ここが今日の寝床です。他にも人がいるので少しだけほっとしながら…これから鞄を抱いて寝よう。

これからどうなるのか、私には全く予想が出来ないけれど…

本当に一刻も早くこの事態が収束することを願います。

明日への希望を持ちながら…。

 

 

 

 

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